皆さんは探偵の仕事と聞いてどんな仕事を想像するでしょう?
尾行調査に証拠写真の撮影。
映画やドラマが好きな人は格闘シーンや逃亡シーンなんかも想像するかもしれません。
しかし探偵の仕事を正確に把握している人は少ないでしょう。
と、いうことで今回は探偵が依頼を受けてできる調査について調べてみました。
探偵が受けている恩恵や権限
そもそも探偵とはどの程度の権限が与えられているのでしょう?
実は探偵には特に何の権限も与えられてはいません。
探偵事務所を開業する場合には、各自治体の公安委員会に届出を出します。
この届出には、「法律を遵守し営業していく」ことを誓約する文言が含まれています。
つまり、正式に認可を受けている探偵事務所は、
すべて法律で許されている範囲内で調査することが義務付けられているということになります。
ドラマや小説では探偵が拳銃を撃ったり、猛スピードでカーチェイスを繰り広げたり、警察と組んで超法規的な調査をしていますが、これらは現実ではありえないということになります。
以下代表的な調査内容を紹介しますので、これらのことを踏まえておいてください。
探偵が行う調査① 素行行動調査
素行行動調査とは読んで字のごとく、調査対象者の素行や行動を尾行し、
写真や動画に残す調査になります。
主に
「浮気調査」や「婚約者の素性調査」などがこの調査に含まれます。
浮気調査の目的は2つ。
まずは何より「本当に浮気をしているかどうか」を確認することです。
調査対象者を尾行することにより、普段依頼者が見ることができない時間帯の対象者の動きを記録します。
そして浮気の可能性がある行動を確認した時は、その相手と浮気をしているのか?
単なる友人や後輩、同僚なのか? 2人きりで会っていても、仕事の関係で会っているかもしれないですし、後輩から悩み事の相談を受けているだけかもしれません。
もうひとつの目的は、「浮気の証拠を入手すること」です。
尾行や聞き込み、SNS上の調査などを経て、浮気の可能性が出てきたら今度は浮気現場の証拠入手のための尾行が始まります。
浮気現場の証拠とは、その2人が肉体関係を結んでいると推測できる物的証拠ということになり、主にホテルへの出入りを抑えた写真や動画を残すことです。
一方「婚約者の素性調査」は、
婚約者本人より婚約者のご両親や親族が依頼してくるケースが多いようです。
こちらは尾行調査にとどまらず、会社関係者への聞き込みや、生まれ育った地元での聞き込み、卒業した学校への調査による学歴の確認などが中心となります。
浮気調査に比べて、聞き込みなどが中心になります。
探偵が行う調査② 人探し調査
素行行動調査に続いて多いのが「人探し」です。
この「人探し」も大きく分けて2種類の調査に分かれます。
一つはかつての
知人や友人、恩人などを探す調査、もうひとつは
失踪した家族や友人、恋人を探す調査です。
この2つの調査、似ているようで難易度が大きく違います。
過去の知人や恩人を探す調査は、単なる調査です。
職場や過去に住んでいた住所などが分かれば、ある程度調査範囲も絞り込めますし、何といっても「探されている側は普通に暮らしている」ことが重要です。
一方失踪人の調査難航することが少なくありません。
その最大の理由は「探されている側が隠れている可能性がある」こと。
さらに本人の意思で隠れいているのであれば、多少は行動範囲を絞り込めるかもしれませんが、何らかの犯罪に巻き込まれて、本人の意思とは関係なく隠匿されている場合は、ほぼ発見することは不可能に近くなります。
前述の通り、
探偵には特別な権限が与えられているわけではありませんので、他人の敷地に勝手に侵入したり、暴力行為を働くなどの調査はできません。
探偵にこうした失踪人の調査を依頼する場合は、同時に警察に行方不明者として届け出ておくことをオススメします。
探偵が行う調査③ 嫌がらせ調査・ストーカー対策
近年増えているのが、
ストーカー行為を受けていたり、なんらかの嫌がらせ行為
(ハラスメント行為)を受けている方からの相談です。
ここで勘違いしてはいけないのが、探偵が行うのは「調査」であり、「解決」ではないということです。
探偵は相談者が受けている迷惑行為に関する証拠を入手するために調査を行います。
尾行調査であったり、聞き込み調査であったり、張り込み調査であったり。
これらの調査の目的は、
「相談者が確実に迷惑行為を受けている」という証拠で、可能であれば加害者を特定することです。
相談者はこの証拠を持って警察など、その行為を止めることができる機関に相談を行うわけです。
ストーカーによる残虐な事件が起きるたびに、「警察は相談を受けていたにも関わらず…」といった報道が流れます。
ストーカー被害を受けていると漠然と警察に相談しても、警察はなかなか腰を上げてはくれません。
しかし「この人にこんな行為をされている」という証拠を提出すれば、
警察もすぐに捜査に取り掛かってくれる可能性が高まります。
ハラスメント行為の場合は、仮に社内の話であれば社内の労務課など担当部署に相談しましょう。
探偵が行う調査④ 盗聴器(盗撮カメラ)発見調査
これも近年増えている調査に
盗聴器や盗撮カメラを捜索する調査があります。
自宅での会話を誰かに聞かれている気がする、自分と思わしき写真や動画が知らないうちに撮影され、ネット上にさらされているなど、考えただけでも恐ろしいレベルの被害が増えています。
この調査に関しても、
探偵が行うのは「カメラの発見」および「盗聴器の発見」が基本であり、さらに踏み込んだ調査を行ったとしても、「加害者を特定する」というところまでです。
その先、つまり加害者を何らかの罪状で逮捕するのはあくまでも警察の仕事であり、探偵の仕事の範疇ではありません。
加害者を「何らかの罪で」逮捕としたのは、
実は盗撮や盗聴は、その行為自体は法に触れないから。これは意外と知られていない事実かもしれません。
ただしそれに付随して何らかの犯罪を犯している可能性は高く、例えば自宅に侵入して盗聴器を仕掛ければ
「不法侵入罪」や「器物損壊罪」ですし、入手した音声や映像を勝手に公表すればプライバシーの侵害にあたります。
探偵の調査は、盗撮や盗聴を行っている機器を発見すること。
それ以上の被害に関しては警察に相談しましょう。
探偵が行う調査⑤ 企業信用調査・社内調査
探偵の調査には、個人を調べる調査だけではなく、会社自体を調べる調査もあります。
ただしこういった企業信用調査に関しては、完全な回答を得るのは難しいかもしれません。
例えば上場企業であれば、決算書の公開が義務付けられていますが、非上場の中小企業にその義務はありません。
もちろん要求されたからといって公開する義務はなく、経営状態を判断する材料を入手するのが難しくなります。
まず探偵はできる範囲で会社の情報を集めます。
そして探偵の調査の真骨頂はここから。
経営者の最近の行動をチェックしたり、聞き込みで現況を調べたり、取引先での評判を調査したりと、足で稼げる情報を入手します。
最終的な判断を探偵が行うことはなく、
「こういう状態である可能性が高い」という報告が中心になります。これらの情報から、その企業の信用度をどう判断知るかは依頼者の判断に委ねられます。
社内調査は主に社員への聞き込み調査が中心となり、社内で深刻な問題が起こっていないかをチェックするのが目的となります。
セクハラやパワハラといったハラスメント被害の調査や、場合によっては横領や情報漏洩といった会社の経営を直撃するような不正の調査も行います。
探偵が行わない調査も
ここまで探偵が行う調査について調べてみましたが、最後に探偵が行わない、行ってはいけない調査についても調べてみました。
これは調査の内容というより、依頼者に問題があるケースが目立ちます。
まず挙げられるのが「反社会的な組織や団体」からの依頼です。
こういった団体との調査契約は認められておらず、どんな調査内容でも拒否する義務があります。
また、「DV加害者やストーカー加害者」からの依頼も調査をすることは禁じられています。
かつてはDV加害者の男性が、隠れていた元妻の居所調査を探偵に依頼し、探偵がこの情報を提供したことから、殺人事件に発展してしまったという事件がありました。
こうした悲劇を再び起こさないためにも、こういった加害者からの依頼も拒否する必要があります。
また、調査結果に出自など差別助長に繋がらない用を記載することも禁じられているので覚えておいてください。